サッカーにおけるFW(フォワード)の役割とは何か〜元プロサッカー選手の趣味考察〜

一昔前のFWの役割というと「点を取ること」だけでした。日本人で言えば、ゴン中山や釜本邦茂などが、昔のFWの象徴だと思います。しかし、トータルフットボール(全員守備・全員攻撃)という概念が普及されて以降、日々世界のサッカーは進歩し、より各ポジションに求められる役割が多様化してきました。
今回は、現代サッカーにおけるFWに求められる役割を考察していきます。

FWの最も重要な役割はゴールを奪い、チームを勝利に導くこと

今も昔も変わらないですが、最前線のポジションでありシュートを打てる確率が最も高いポジションであるFWは、点を取ることが最も重要な役割であり、プロのFWでもゴール数が最も重要な評価基準になります。
いくら足が早かろうが、身長が高かろうが、技術が高かろうが、ゴールを奪わなければFWとしては全く評価に値しません。
それがFWに課せられた最も重要な使命なのです。
この重要な使命を達成しやすい能力が、FWによく見られる”足が早い”・”身長が高い”・”パワーがある”といった能力です。そのため、昔からFWはフィジカル的に恵まれた選手が多いという構図になっています。

これからゴールを奪う以外の役割も後述しますが、それらも最終的には全て「ゴールを奪うための役割」であることをご認識ください。

FWはゴール以外にも求められる役割がある

冒頭にも記しましたが、トータルフットボールの概念からFWは「ゴールを奪う」以外の役割が求められる様になりました。
近年では、「ゴールを奪う」という大前提+αで下記に記す様な役割を評価し、総合的にFWとしての優秀さを判断する様になってきています。その役割は大きく分けて4つあります。

  1. ポストプレーで攻撃の起点になる
  2. 相手の背後を取り、チャンスメイクする
  3. 前線での守備能力
  4. 空中線で競り勝つ

これら4つの役割が何故求められるのかを解説していきます。

FWに求められる役割①相手の背後を取り、チャンスメイク

サッカーでは、”如何にボールをゴールに近づけてからシュートを打てるか”がゴールを奪える確率を左右します。
そして、最も簡単な方法が相手の背後を取る方法です。
これが出来れば、まどろっこしいパス回しは必要なく、裏へのパス1本という最短距離で”ボールをゴールに近づける”ことができます。つまり、FWは常に背後を狙い最短距離でゴールを奪える準備をしなければなりません。
もしFWが背後を狙わなければ、相手はDFラインを非常に高い位置で設定し、中盤をコンパクトにすることができます。そうなると、自チーム攻撃時に相手との距離が近くなってしまい、思う様にボールを保持する事ができなくなり、相手陣地に攻め込むことができなくなってしまいます。つまりFWが背後を狙うということは、相手のDFラインを下げさせて、自チーム攻撃時に中盤でボールを奪われる確率を下げることに繋がります。
また背後を取ってシュートを打つまで持っていけなかったとしても、ボールを前線で保持し、味方の上がりを待つ事でより厚みのある攻撃に繋がります。更には、攻撃時間を長くする事でDFラインの休息にも繋がります。

このようにFWが背後を取る意味は多岐に渡り、点を奪えずともチームへの貢献値は高く、重要な役割として位置付けられています。

FWに求められる役割②ポストプレーで攻撃の起点になる

”如何にボールをゴールに近づけられるか”の観点から考えるともう一つ重要なプレーが”縦パス”です。FWはゴールを背にしてボールを受ける”ポストプレー”が求められます。基本的には相手を背負い、マークに耐えながらボールを収める能力が求められます。このプレーが上手い選手でいうと、大迫勇也です。
ポストプレーは難易度が高く、苦手とするFWも沢山います。難易度が高い理由は、相手との距離が近いからです。DFは自分の視野の範囲内でプレーされる事、相手と接触できる事を好みます。何故ならボールを奪える確率が高くなるからです。
ポストプレーというのはまさにDFが対応しやすいプレーであり、積極的にボールを奪いに行こうとします。それに対してFWは、相手が後ろから迫ってくるため、基本的には視野の範囲外であり、相手からの激しいプレッシャーと相手が迫ってくるという心理的なプレッシャーがあります。その様な環境下でボールを落ち着いて収めるというのは、至難の技です。
しかしFWがポストプレーをできなければ、裏パス・横パス一辺倒になり、単調な攻撃になってしまいDFは非常に守りやすくなってしまいます。そのため、FWは背後を狙いDFラインを下げた後、中央でポストプレーをする事で攻撃の起点になることが求められるという訳です。

FWに求められる役割③前線での守備能力

現代サッカーは日々効率良く点を取るために進化しています。”ゲーゲンプレス”というドルトムントのプレッシャーをクロップ監督が提唱して以降、サッカーの潮流が”ポゼッションサッカー”から”プレッシングサッカー”に変わった様に思います。
考え方は、”如何にボールをゴールに近づけるか”ではなく、”如何にゴールに近いエリアでボールを奪えるか”という考え方です。非常に理にかなった考え方ですね。この考え方が世界に浸透し、ハイプレスを戦術とするチームが非常に増え、FWの前線での守備能力も、FWにとって非常に重要な能力の一つになってきています。日本人で言うと岡崎慎司や最近では林大地がわかりやすいですね。チームのボールの奪いどころに合わせて、前線から相手のパスコースを限定し、かつ本気でボールを奪いにいくプレッシャーをかけなければいけません。つまり、”ハイプレスをかけられる走力”が求められるようになってきています。

FWに求められる役割④空中線で競り勝つ

最後はプレースタイルにもよりますが、相手DFに空中線で競り勝つ能力です。勿論、クロスに合わせて競り勝つという意味もありますが、もう一つは味方のクリアやロングキックに対して、相手DFに競り勝つ能力が求められます。クリアやロングキックでヘディングでボールを後ろに逸らす事ができれば、味方が相手の背後を取れる確率が上がります。また、後ろに逸らせれば味方に通らずともDFラインを上げる事ができ、コンパクトにする事で相手のDFに備え直し、しばし休息を取ることができます。逆に全て競り負けてしまうと、相手DFに弾かれたボールがまた自陣に返ってきてしまい、セカンドボールを拾われればピンチを招く事に繋がってしまいます。”相手の攻撃を一旦止める”ことができると言う意味でも、FWの空中線の強さは重要な要素になります。

全てをバランス良く網羅するのは難しい

上記でFWに求められる能力を上げさせてもらいましたが、全てを網羅するのは非常に難しいです。しかし、これらの役割を認識し一つ一つできる事を増やしていく事がFWとしての能力の高さに繋がってきます。プロでも全部はできません。
点を取るために自分の最大の特徴の活かし、+αで上記求められる役割を足していくとFWとしてより洗練されていきます。
是非、現サッカープレーヤーは参考にしていただき、保護者や観戦好きの方はFWを見るときの指標にしていただきたいです。

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